8月24日、京セラの創業者
稲盛和夫名誉会長(以下稲盛会長)がお亡くなりになりました。
御年90歳の大往生でした。
ご存じの方も多いと思いますが
稲盛会長は経営の神様と言われた人です。
素晴らしい経営者でした。
ご冥福をお祈りします。
今日は
稲盛会長を偲んで
「稲盛会長に学ぶ!事業再構築で一番大切なこと」
というタイトルで書いてみたいと思います。
稲盛会長の日本航空の再生事例
2010年1月に日本航空(JAL)は、2兆3,000億円という、事業会社としては戦後最大の負債を抱えて、会社更生法の適用を申請し、事実上倒産しました。
その日本航空を再生させるため、政府から強い要請を受け、同社の会長に就任したのが稲盛会長でした。
破綻当初の日本航空は、倒産に対する危機感や当事者意識が欠けており、社員の一体感もなく、再建は不可能とさえいわれていました。
そのような中で、稲盛会長が陣頭指揮をとり日本航空は再生をスタートさせるのです。
そしてなんとそれまで赤字続きだった日本航空は、翌期には営業利益1,884億円をあげる、世界の航空業界の中で最も高収益の会社に生まれ変わりました。
そして2012年9月には、日本航空はわずか2年8カ月という短期間で再上場を果たしたのです。
稲盛会長は日本航空をどうやって事業再生したのか。
変えたのは商品やサービスではない。
皆さんご存じの通り、経済産業省は現在コロナ禍で業績が悪化した企業を対象に新しい事業への挑戦を補助金で支援しています。
この補助金をもらうためには
「新事業に挑戦すること」が条件となっています。
わかりやすく言うと
「新商品や新サービスを開発すること」
が申請の要件です。
新商品や新サービスを開発すること
それが事業再構築の柱だと言わんばかりです。
しかし本当にそうでしょうか???
事業再構築で大切なことは商品やサービスを変えることなのでしょうか??
例えばです。
稲盛会長が行った日本航空の事業再生プラン
商品やサービスを変えたのでしょうか?
答えはNOです。
稲盛会長がまず最初に変えようとしたのは商品やサービスではありません。
では何を変えたのか?
稲盛会長は自身のオフィシャルサイトでこう解説しています。
以下稲盛和夫オフィシャルサイト
私は日本航空のような会社が再建を果たすには、
まずは全社員が考え方を変えてもらうしかない、意識を変革してもらわなければならないと考え、
「京セラフィロソフィ」という、
私が経営の実践の中で導き出した哲学をもって、
日本航空の幹部に熱く語りかけ、
あるべき姿を訴えていきました。リーダーは部下から尊敬されるような
すばらしい人間性をもたなければならず、
そのためには日々、
心を高め続けなければならないことなど、
人間としての生き方に至るまで、
集中的に学んでもらいました。さらには、
一般社員への教育も行いました。現場の最前線でお客様と接する
社員の意識が変わらなければ、
航空会社は絶対よくならないと考え、
私自身が現場に出かけ、
直接社員に語りかけるようにしました。そのようにして、
日本航空会長に就任以来、
経営幹部を先駆けとして、
全社員の意識改革をはかることで、
会社の組織風土の刷新に努めていきました。
そしてそのような意識改革に伴って、
業績も飛躍的に回復していったのです。また
アメーバ経営による組織改革も功を奏しました。
航空会社の経営を安定的なものにするためには、
路線別また路便別に採算がわかるような仕組み、
いわゆる「管理会計システム」が不可欠
と考えその構築に努めました。これにあたっては、
私が独自に編み出した「アメーバ経営」を、
航空会社にも適用するよう
アレンジすることにしました。その結果、
今では日本航空の全ての路線・路便ごとに、
翌日には採算がわかるという、
世界の航空会社にも類を見ない、
精緻な管理会計システムを構築しています。つまり、
意識改革を果たした日本航空の幹部と社員が、
そのような管理会計システムが示す、
リアルな経営実態に基づき、
自分たちで創意工夫しながら、
経営を行うような体制に組織を改革したのです。
このように、稲盛和夫さんは日本航空を再生するために社員の意識と数値管理の仕組みを変えることに尽力されました。
そして2年8か月という短期間で世界最高の利益を上げる航空会社に変えることに成功したのです。
中小企業が変えるべきものは何か?
私は今、コロナ感染症の影響を受け業績を大きく落としてしまった中小企業の経営改善をお手伝いしています。
多くの経営者は一生懸命業績を回復するために新商品や新サービスの開発に奔走されています。
しかしどうでしょうか?
稲盛会長がもしそれを見ていたらなんていうでしょうか?
おそらくこう言うのではないでしょうか。
商品やサービスを変える前に
社員全員の意識を変えることです。そして
管理会計を導入して
1日1日の現場ごとの利益を把握して
社長と社員全員で
創意工夫する仕組みを考えることです。
今日のまとめです。
事業再構築で大切なことは
商品やサービスを変えることではなく
社員の意識と数値管理の仕組みを変えること
毎日の数値を社長と社員全員で把握
創意工夫する仕組みを作ること。
これは全ての中小企業がやればできることです。
皆さんの会社ではいかがでしょうか?
社員の意識を変える努力を行えていますか?
一日一日の現場の利益を社員全員で把握できていますか?
当社では
「意識を変えて数値管理の仕組みを変える勉強会」
を開催しています。
本日は以上です。
経営者の皆さん
今日も一日
頑張って行きましょう!
やればできます!